ファイナンス×カーライフサポートで300億円を生む躍進企業の実態

2018.10.04

本シリーズは、ホームページや決算など“表側”の情報からは見えてこない成長を続ける企業の“深層部”を探っていくプロジェクト。会社内部の実態、経営者の考えや人柄などを編集部が容赦なくホンネを掘り下げて、企業の実態に切り込んでいきます。

記念すべき第1回で取り上げる企業は、オートクレジット事業からスタートし、今やワランティ(自動車保証)や整備事業まで、カーライフ全般のサービスへと事業展開して注目を集めているプレミアグループです。2017年12月には東証2部に上場を果たし、時価総額は240億円を超えるまでに成長(2018/9/26 時点)。

現在は、タイやインドネシアなど海外進出も積極的に行っています。スピード感あふれる経営を牽引するのは、プレミアグループ代表の柴田洋一社長。そんな躍進している企業の秘密を探ります。

世のため・人のためにならない事業なんて、おかしい!

2015年に設立され、急成長を遂げているプレミアグループ株式会社の代表・柴田社長。プレミアグループの社員数は300人を超える(2018/9/26 時点)。

石田
本日はよろしくお願いいたします!
柴田社長
よろしくお願いします。
石田
まずは、プレミアグループの事業内容を教えてください。
柴田社長
今となってはカーライフのトータルサポートを展開していますが、スタートはオートクレジット会社で、いわゆる信販会社と呼ばれるものです。住宅ローンをイメージしてもらうといいかもしれません。家も車も高いので、クレジットカードでは買えないですよね。かといって、現金で買える人ばかりでもありません。そこで、ローンを利用して車を買っていただくサービスを提供しています。
石田
なんか、“クレジット”や“ローン”と聞くと儲かりそうなイメージですね(笑)
柴田社長
オートクレジットはとても儲かる業界ではあります(笑)このマーケット自体は約4兆円の規模ですからね。当社事業としては前年同期比118%で8年連続右肩上がり。取扱高は4半期ベースで300億円を突破するまでになりました。
石田
ガッポリ稼げそうな市場規模の大きさに目をつけた感じですね!
柴田社長
儲かるビジネスは大事ですが、以前、大きな信販会社に勤めていた時にある“疑問”を感じ始めたんです。
石田
“疑問”ですか?
柴田社長
信販会社は儲かるがゆえに悪徳商法やキャッシングが横行して、社会に必要のないローンが増えてしまったんですね。「人の役に立っていないファイナンスの世界があるのはおかしい」「こんな世の中で本当にいいのか?」と疑問に思い始めたのがきっかけです。
石田
金融の世界はお金が渦巻くドロドロとしたイメージもありますが、社長はそんな中でも不満を持っていたと?
柴田社長
日本においてキャッシングは、遊興費に使われることが多く、生活費のために利用するなんてことは本当に少ないんです。困っている人のためのファイナンスなのに、悪用されたり、必要のないことに利用されたりしている。こういう世の中って絶対におかしいよね、という思いがありました。
石田
そんな中で、車のローンをビジネスとして選んだのはどうしてですか?
柴田社長
いろいろな企業に勤めましたが、ずっと車のファイナンスを手がけてきたんです。ただ、なかなか収益が上がらない部署だったので、あまり大事にしてもらえませんでしたね(笑)でも、我々のやってることは絶対正しいと思っていました。
石田
収益が上がらなかったのに“正しい”と信念を持ち続けたと。
柴田社長
戦後間もない中で日本の経済が世界に羽ばたいていったのは、“モータリゼーション”(*1)の影響が大きいんですね。もし現金でしか商売できなかったら、車を買える人は限られていますし、販売会社も次の車の仕入れができません。だから、我々が車のローンを提供することで社会の役に立っているんだという自負がありました。
石田
社会の役に立つファイナンスだという考えが根底にあったんですね。
柴田社長
社会にとって本当に必要なものを提供していかなければ、企業が発展していくことはできないと思います。常々私が言っているのは、「正しいことを正しくやろう」ということ。正しい事業を、正しい方法で提供することで、世の中の役に立てると信じています。
石田
なんか、かっこいい。

*1 モータリゼーション:車社会化。自動車が生活必需品として大衆に普及する現象。

目の当たりにした“大企業病”がきっかけで創業へ


創業に至るまでの思いを語ってくれた柴田社長。

石田
創業までのストーリーを聞かせていただければと思っています。柴田社長は学生の頃から優秀そうなイメージがありますが、読者が共感できそうなダメダメだったエピソードなんかがあれば教えてください(笑)
柴田社長
高校と大学ではずっとテニスをやってました。テニスと聞くと同好会でワイワイ楽しいキャンパスライフ!のようなイメージがあるかもしれませんが、かなり本格的な体育会系だったので、1年のうち半分ぐらいは合宿のような感覚でした(笑)
石田
むしろ、体育会系の世界で立派に渡り歩いてきたという優秀さをアピールされたような……。就職活動なんかも卒なくこなしちゃいましたか?
柴田社長
かなーり面接で落とされました(笑)
石田
まじですか!?
柴田社長
あまり真面目なタイプではなかったので(笑)スーツを着る仕事はしたくないとか、ネクタイをする仕事はしたくないとか。当時は、事業所の半分くらいにクーラーが入っていなかったんですけど、私は暑がりなのでクーラーがある事業所にしようとか(笑)
石田
なんか親近感湧いてきました(笑)
柴田社長
そういうことしか考えていなかったから、面接で落とされたのかもしれません(笑)なんとか拾ってくれた企業があったので助かりました。


社長の人柄もあってか社員のモチベーションも高いという。東洋経済が発表する「若い会社なのに 高収益で新卒も辞めない会社(2018)」ではプレミアファイナンシャルサービス株式会社が6位にランクインしている。

石田
その後はサラリーマンとして働くわけですが、創業しようと思ったきっかけは何なのでしょうか? やっぱり稼ぎたいからですか?(笑)
柴田社長
私は転職も何回もして、いわゆる大手と言われる会社でキャリアを積んできたんですね。若い頃はあまり何も考えずにやってましたけれど、だんだんポジションが上がってくると、目の当たりにするようになったんですよ、“大企業病”というのを。
石田
“大企業病”……ドロドロとした展開がありそうな……。
柴田社長
たとえば、足の引っ張り合いです。同じビジネスやってるのに、足の引っ張り合いなんて普通考えられないじゃないですか。何のメリットもないでしょう? でも、あるんですよ、大企業だと。私は自分からあえて引っ張るようなことはしませんでしたけど、引っ張られたら絶対に引っ張り返してやろうと思ってました(笑)そういう人たちが生き残っていくんですよ、大企業って。
石田
けっこう負けん気が強いですね(笑)
柴田社長
強いですよ(笑)飲み会の席では「今回の報酬おかしいよね」と愚痴ったり。
石田
社長も若い頃は青かったんですね(笑)まさか愚痴りの経験があるとは。
柴田社長
ありますよ。でも、これは会社のあるべき姿じゃないですよね。愚痴を言い合っていても、会社として絶対に伸びていかない。だったら、自分が会社をつくればいいじゃんと思ったんです。足の引っ張り合いも、愚痴り合いもない会社をトップとしてつくろうと。
石田
理想の働き方をすることが創業へのきっかけだったんですね。
柴田社長
我々の会社が、「強い・明るい・優しい」という“バリュー”をずっと大事にしているのもそのためです。

ファイナンス・ワランティ・整備・海外事業。複数の柱で飽くなき成長を目指す


オートクレジットとワランティ(自動車保証)のコア事業とシナジーさせながら自動車関連事業を拡大させると柴田社長は語る。

石田
先ほどオートクレジット事業のお話を聞きましたが、それ以外に力を入れている事業もあるんですか?
柴田社長
ワランティ(自動車保証)事業になります。こちらは、2018年6月で前年同期比123.7%、取扱高が4半期ベースで7.4億円となり、創業からほぼ2桁成長を続けています。ワランティ事業はオートクレジット事業とともに2桁成長を堅持しようと目標を掲げています。そのためにも、営業体制も強化中ですね。
石田
なるほど、2本柱ということですか。
柴田社長
いえ、他にも柱はあります。カーライフのトータルサポートということで、さまざまな事業展開を行っています。仕事が車のファイナンスだけだと、社員が飽きちゃいますから(笑)同じことをずっと続けていくより、いろいろなことを経験できて、いろんなビジネスに携わっていける方が楽しいじゃないですか。
石田
社員のことを考えて新規事業を展開していると。
柴田社長
そうです。入社してから定年まで、社内でいろんなことが経験できれば、人として成長していけますし、会社も同じことです。とはいえ、いきなり「ラーメン屋をやりましょう!」といってもそうはいかないですが(笑)
石田
ラーメン屋を始めたらそれはそれで話題になりそうですけどね(笑)
柴田社長
我々ができるのは、車に関わること。「じゃあ、カーライフに関わることは何でもやればいいじゃん!」というのが新規事業のひとつの考え方です。我々のサービスを扱ってくださっている加盟店は全国に2万社あるんですね。
石田
2万社もですか!
柴田社長
はい。その2万社のお客様に対して必要なものをどんどん提供していけば、ビジネスにもつながっていきますし、お客さんにとってもメリットになる。そう考えて、整備事業中古車流通サービス海外事業など、いろいろな新規サービスを手がけるようになりました。
石田
ただ、新規事業といってもそう簡単にはいかないんじゃないですか?
柴田社長
クレジットとワランティ事業以外も確実に伸長しています。例えば、中古車小売事業ひとつとっても約2.7兆円の規模です。自動車整備市場に至っては5.4兆円。合計で8兆円なわけですね。新規事業も主力事業同様、さらなる伸長の余地があると考えています。
石田
企業が成長するにつれて、社員の努力も還元されるべきだと僕は思うんですけれどもそのあたりはいかがでしょうか?
柴田社長
社員の給与も毎年上がっております。会社の利益も社員への福利厚生も上げて、かつ、株主に対してはしっかり配当を出して、成長戦略も見せて、というのが理想の姿だと思っています。
石田
正直な話、平均年収はどのくらいなんですか?(笑)
柴田社長
現在の平均年収は639万円ですね。
石田
全国企業の平均年収400万円に比べるとだいぶ高い! 日本企業の平均年収ランキングトップ1000には軽く入る感じですね!
柴田社長
ありがとうございます。
石田
これからの企業成長に向けて課題などがあれば教えてください。
柴田社長
給与面も大事ですが、社員がより楽しく働ける環境を作るのが自分の課題です。それが、これからの企業の成長につながっていくと考えています!


自動車整備事業の拡大にも意欲的な柴田社長。整備工場を増やすべくM&Aをいくつか検討しているとのこと。

編集後記

終始にこやかに、しかし、とても力強く話される柴田社長。「人と社会を本当に幸せにする会社でありたい!」という思いがひしひしと伝わってきました。信販会社という枠にとらわれず、可能性を次々に事業化し現していくアクティブさに、企業としての強いパワーと成長スピードを感じます。次回は、投資インフルエンサーの平凡なる学生(@heibongakusei)を迎え、この業界では同社がパイオニアでもある海外事業についてお話を伺います。

(取材:石田(@hirokiishida1)/文:雨輝・金子/撮影:0149)

石田
1992年生まれ、埼玉県狭山市出身。陸上で全国大会ベスト16、野球で関東大会2年連続優勝のスポーツ少年。引退後、20歳で中古車販売、中古品リユース業で独立と同時に株式投資を始める。現在は美容業界にも参入し、まつ毛エクステサロン、ホワイトニングサロンを経営しながら株式会社LLLのCOOを務めている。

投資にストーリーを。

私たちは「投資にストーリーを」をモットーに、社会に貢献している価値ある企業を「IR」という切り口から、中長期的な株式投資につなげて応援していく活動を行っています。優良な企業に株式として資本が集まり、国民一人ひとりが元気になれる社会づくりをしていきたい。そんな私たちの思いに少しでも賛同いただけたら幸いです。(IRクラウドとは?

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